第1話 会社を辞めた時の保険のお話
プログラマーとして会社に勤めていたゆうこ。ひょんなことから独立を決意し、会社を辞める。だが開業するとなると何をどうしたらよいのか…。そんなゆうこが独立して仕事をしていく過程を掲載していきます。
ゆうこ26歳、独身。コンピュータ関係の専門学校を卒業後、プログラマーとして会社に勤め5年。仕事に追われる日々。会社での技術には精通していくが、最新のプログラム技術などの勉強が追いつかないことが不満になっていた。やりたいこと、勉強したいことがたくさんあり、まとまった時間を持てるようにしたいと思っていた。
そんな中、マーク・ザッカーバーグの映画「ソーシャル・ネットワーク」を見て、ゆうこの頭の中に電撃が走る。…これは私も起業するしかない!と。思い立ったら吉日、その後すぐに会社に退職願を提出。同僚や上司からなぜ突然辞めるのかと聞かれるが、「決め手は映画です!」とは言えず「花嫁修業です」と答えたところ、何とも渋い顔をされた。両親に寄生し家事もほとんどしてこなかったため、料理はろくに出来ず職場のデスクはいつも散乱、その上異性への理想は無駄に高い…これまでの行いが微妙な説得力を持たせた。もちろん信じていない人も多い。
家族には本当の退職理由を話した。役所勤めの父はやはり反対した。しかしゆうこが必死に説得すると、好きにしなさいと呆れ顔で言った。何だかんだ言っても、娘に甘い父である。母は楽天的な性格からか、むしろ面白がって話を聞き、応援してくれた。この母にこの娘あり、といったところか。新社会人となる弟は「へぇ…」と一言。関心のない様子。自分のこれからの社会人生活のことで頭がいっぱいなようだ。まだ高校生の弟も、姉の退職など他人事である。
なんとか会社を退職したゆうこ。
はりきって起業について考えてみるが、「えーと、どれから手をつければいい?そもそも何をすればいいの?てか何もかも分からない…」という状況に陥ってしまった。「いや待てよ、起業の前にまず保険や年金はどうしたらいいの?」
独立を決めたら、自分で全てを抱え込むのではなく、分からないことは税理士や専門家に聞いてみる、相談するのが一番早いです。
今回はまず、「会社を退職してからの健康保険・国民健康保険について」のお話です。
健康保険か国民健康保険を選ぶ
会社員は、会社で社会保険に加入していると思います。給与明細を見ると健康保険と厚生年金保険が控除されていませんか?この金額は会社と折半されています。国民健康保険は全額自己負担となっています。会社を退職したら、加入している社会保険に任意継続するのか、国民健康保険に加入するのかを選択して手続きをします。
【退職後の健康保険制度の選択肢】
1.退職前の健康保険の任意継続加入
保険料は会社で折半していた分も自己負担するので今までの倍となります。加入期間は2年間です。
任意継続できるのは、退職日までに継続して2ヶ月以上健康保険に加入している必要があります。
また退職日から20日以内に申請をしてください。提出先は加入していた健康保険組合等です。
<任意継続の申請手続きに必要な書類>
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
- 退職日の確認が出来る書類(退職証明書、離職票、健康保険被保険者資格喪失届等)
- 被扶養者がいる場合、収入を証明する書類
2.国民健康保険に加入
保険料は前年の所得、加入する世帯の人数により計算されます。
国民健康保険は、住んでいる市区町村で手続きを行います。退職日から14日以内に届出をしてください。
〈国民健康保険の申請手続きに必要な書類〉
- 退職日の確認できる書類