第13話 外国人雇用を考える
仕事が着々と増え、人手が不足してきたので求人をかけるがなかなか人が集まらない。日本人に限らず外国人雇用も考えてみよう
大きい案件が一段落ついたゆうこ。顧客からの紹介等もあり、仕事が着々と増えてきた。従業員を一人雇っているものの、それでも少々きつくなってきた。開業時の細々と仕事をしていた頃を思い出せばうれしい悲鳴である。
「もう一人、人を雇おうかなぁ」
さて、人を雇うならばどうしようか。今雇っている従業員は同業の知人から紹介してもらったのだが、開業して間もない個人事業の元で働いてくれる、条件に合う人材を見つけるのにはなかなか苦労した。
とりあえず知人への声がけと、ハローワークでの求人を活用することにしてみた。
そして一ヶ月後。求人の応募は全く来ない。知人をあたるも条件が合う人がおらず、唯一検討すると言ってくれた人がいたが、その後より良い条件の他社に採用が決まったからと断られてしまった。
通常業務と並行して人材探しにも労力を費やしていたがなかなか苦労は報われず、意気消沈するゆうこ。するとそれを見かねた現在ゆうこの元で働いてくれている唯一の従業員・橋本さんが息抜きに一緒に出かけようと誘ってくれた。橋本さんは気遣いのできる人で、仕事でもいろいろと細やかなフォローをしてくれていて、ずぼらなゆうこは大変助かっていた。
詳しい行き先を聞かずについて行くと、着いたのは某イベント会場。
「なになに、何のイベント?」
「これはKーPOPのダンスカバーイベントです!友人が出演するので観にこようと思っていたのですが、一緒に行くのに予定の合う人が見つかっていなくて、ゆうこさんの息抜きにもちょうどいいかなと思って連れてきちゃいました」
KーPOP大好きな橋本さん。人を気遣う振る舞いをしながらも自分の目的を果たすちゃっかり者である。ゆうこは最近橋本さんの影響でKーPOPにジワジワとはまってきているところだった。
そのイベントには人が多く集まっており、参加者・観覧者は日本人や本場韓国の人たちだけでなく、諸外国の人たちもいたりと様々であった。
「そういえば前に勤めていた会社にも外国人エンジニアがいたな。優秀な人たちだったな~」
以前同じ会社で働いていた人たちを思い出した。
「うちの求人は日本人だけと決めていたわけではないけど、ハローワークの求人も知り合いをあたるのも無意識に日本人しか想定していなかったな」
この一ヶ月の人材探しを振り返るゆうこ。
「よし、もっと視野を広げて、外国人でも働いてくれる人を探してみよう!そうと決まったら・・・どうしたらいいんだろう」
「外国人労働者は在留資格の問題などもありますからね」
「じゃあまずは、外国人を雇用するにはどうしたらいいのか、相談しに行こうかな」
こうしてゆうこは外国人雇用について検討し始めたのだった。
外国人雇用について相談する
1.外国人雇用管理アドバイザー
厚生労働省が各都道府県に設置しています。「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」に基づき事業主に向けての指導・援助を行います。相談の申込みは事業所を管轄するハローワークにします。アドバイザーを派遣またはハローワークにて相談を実施しています。相談料は無料です。各都道府県労働局及びハローワークでは、個別相談の他にセミナーなども開催しているので、まずは問い合わせをしてみると良いでしょう。
厚生労働省 外国人雇用管理アドバイザー
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/koyoukanri/index.htm
2.外国人雇用サービスセンター等
東京、名古屋、大阪、福岡を拠点に、外国人留学生や在留資格を所持して仕事を探している外国人の方を支援しています。
就職に向けた各種情報を提供するとともに、入学後の早い段階からの就職支援、インターンシッププログラムの提供、就職面接会、セミナー等を実施しています。また、雇用管理に関する専門的な相談・援助を無料で受けることもできます。
他、行政書士等専門家による各相談窓口もあります。
外国人は日本人とは異なり誰でも雇用できるわけではなく、また、どのような仕事にでも就かせられるわけでもありません。
雇用できる外国人と就かせられる仕事は外国人ごとの在留資格により厳格に定められています。
定められている以外の仕事をしていたり、就労時間の範囲を超えて仕事をしている場合や不法滞在の方を雇用している場合は、不法就労助長の処罰対象になります。そうならないためにも事業主は在留資格と在留期間の確認、管理をしっかりと行いましょう。