第15話 確定申告は期限内に忘れずに
消費税増税の対応にてんやわんやし、あっという間に年末を迎えた。次は確定申告準備に追われることに...
消費税増税に伴い、経理対応に追われたゆうこ。
請求書作成のソフトウェアはアップデートしていたが、納期の日付など自分の入力ミスで消費税の計算を誤ることも・・・。確認をきちんとしなくてはと反省し、再度気を引き締めていた。
個人事業主であるゆうこは、12月が決算月となる。請け負っている仕事の忙しさや年末の事務的な仕事に加え、決算前の売掛金や買掛金の残高確認なども行っており、12月は目が回るような忙しい日々を送った。
なんとか年内にするべき仕事を終え、無事に新年を迎えた。つかの間の年末年始休暇は自宅でぐうたら過ごし、休みを満喫する。
「頑張った。私は頑張ったよ・・・。もうしばらく何もしたくない」
そんなことをこぼしていると、
「何言ってるの。この年末年始の休みの間に、食べて寝る以外に大して何もしていないじゃない」
母にちくりと言われてしまい肩身がせまい。実家暮らしのため家事は母に任せきりだったゆうこ。いい歳した娘が仕事のこと以外はろくにしていないため、娘は母に頭が上がらない。
「おっしゃるとおりです、すみません~。私の分まで家事をしていただいて助かっています、感謝しています~」
「はいはい。まぁ確かに年末は忙しかったようね。」
母とテレビのニュース番組を観ていると、著名人の確定申告の無申告や所得隠しの話題があがっていた。
「あらあら大変ね。あなたはちゃんと確定申告の準備はしているの?母さん、あなたのこんなニュース見たくないわよ」
「私はこんな話題になるほどの収入はないよ。でもそうこうしているとあっという間に日が過ぎていくだろうから、早め早めに準備しないとな」
ゆうこは早めに確定申告の準備に取りかかることにした。
確定申告とは
1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算し確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。
個人事業主の場合、売上や経費などの収支や控除額について、個人事業主自身が計算・申告する必要があります。
多くのサラリーマンの場合は、会社で行う年末調整により所得税が精算されるため、確定申告は不要です。
しかし、サラリーマンでも確定申告が必要な場合があります。
①給与の年間収入金額が2千万円を超える人
②1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超えること
→簡単に言うと給与以外の副業の所得が20万円を超える人です。
③2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
→アルバイトを掛け持ちしている等、2か所以上から給与をもらっていて、年末調整をしなかった方の収入が20万円を超える人です。
これらの他にもいくつか確定申告が必要な場合があり、それらのいずれかに当てはまる場合は、原則として確定申告しなければなりません。
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
所得の種類
所得には以下の種類があります。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類です。
今回は個人事業主の所得である事業所得について取り上げます。
事業所得とは
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
事業所得の金額は、次のように計算します。
総収入金額ー必要経費=事業所得の金額
総収入金額とは
それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。
①金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額
②商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
③商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等
④空箱や作業くずなどの売却代金
⑤仕入割引やリベート収入
必要経費とは
収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のことをいいます。例えば商品の仕入や従業員の給与、家賃、減価償却費などです。
必要経費が多ければ税金が安くなります。
家事上の経費は必要経費になりませんが、家事上の経費に関連する経費のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分に相当する経費の金額は必要経費となります。
例えば事務所を自宅にしていた場合、事業用部分と家事用部分で按分します。事業用が50%だった場合、家賃1ヶ月分×50%を家賃として計上します。
国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm
2022年分の確定申告の申告期限は2023年3月15日(水)です。余裕を持って準備を行い、期限内に申告できるようにしましょう。
申告期限を過ぎてから申告すると、「加算税」や「延滞税」が課される場合がありますのでご注意ください。