2024年から変わる新NISA | 税務・会計の専門家 藁総合会計事務所
■はじめに
NISAが変わりますと見聞きしたことがある人も多いと思いますが、そもそも、NISAとはなんでしょうか。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して利益がでたり、配当を受け取った場合には、利益や、配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり税金がかからなくなる制度です。イギリスのISA(Individual Savings Acount=個人貯蓄口座)をモデルとした日本版ISAとして、NISA(Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。2023年までのNISAは、成人が利用できる一般NISA、つみたてNISA、未成年が利用できるジュニアNISAの3種類があります。一般NISAは、株式、投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。つみたてNISAは、一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。ジュニアNISAは、株式、投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。なお、2020年度制度改正において、ジュニアNISAについては、新規の口座開設が2023年までとされ、2024年以降は新規購入ができないこととされました。また、令和5年度制度改正の大綱等において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されました。
■新NISAで変わること
1.つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能に
2023年までのNISA制度は、「つみたてNISA」と「一般NISA」があり、どちらかを選択する方式ですが、新NISA制度では、これが一体化されます。つみたてNISAは「つみたて投資枠」、一般NISAは「成長投資枠」とそれぞれ名称が変わり、併用が可能になります。
2.年間投資枠が最大360万円に拡大
2023年までのNISA制度での年間投資枠は、つみたてNISAを選んだ場合は40万円、一般NISAを選んだ場合は120万円ですが、新NISA制度では、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、併せて年間360万円と大幅に拡大します。
3.非課税保有限度額が最大1800万円に
新NISA制度では「非課税保有限度額」が新設され、買付金額ベースで一人あたり合計1800万円(成長投資枠は1200万円)に設定されました。さらに、2023年までのNISA制度では商品を売却しても非課税枠は復活しませんが、新NISA制度では売却した場合、その非課税保有限度額が翌年以降に復活して再利用が可能となります。
4.非課税保有期間の無期限化
2023年までのNISA制度では、一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間と、非課税保有期間が限られており、一般NISAでは非課税保有期間を延長する場合には移管手続きが必要でした。しかし、新NISA制度では、非課税保有期間がつみたて投資枠、成長投資枠ともに無期限となるため、移管の手続きは不要となりました。
5.新NISAと2023年までのNISAの口座は別枠
新NISA制度の非課税保有限度額は、2023年までのNISA制度とは別枠とみなされます。つまり、つみたてNISAまたは一般NISAで保有している資産は、2024年以降、新NISAの非課税保有限度額とは別に保有することが可能です。ただし、2023年までのNISA制度での新規買い付けが可能なのは2023年中となりますので、ご注意ください。
■「つみたて投資枠」「成長投資枠」とは?
「つみたて投資枠」は、長期の積立、分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たした投資信託に限定)。「成長投資枠」は、上場株式、投資信託等で、整理、監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外しています。なお、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を別々の金融機関で利用することはできません。