役員報酬の改定について(経営状況の著しい悪化)
役員報酬
役員報酬とは、企業の取締役や監査役などの役員に対して支払われる報酬を指します。役員報酬には、給与、ボーナス、ストックオプション、退職金などが含まれ、税法上の取り扱いとして、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与の3つに分類されます。
中小企業における役員報酬の取り扱いで知っておくべきことは、定期同額給与と事前確定届出給与となります。
定期同額給与の改定
定期同額給与とは、法人税法上、役員に毎月同じ金額を支給する給与のことを指します。
この給与は、事業年度の途中で変更することができず、決められた期間中は一律の金額で支給される必要があります。
改定の時期は、事業年度開始日から3ヶ月以内であれば、理由を問わず変更可能です。
定時の改定以外には、役員の職務内容の変更や経営状況の悪化など、特定の理由が必要です。
経営状況の悪化について
「経営状況の悪化」とは、企業の収益性や財務状況が著しく低下することを指します。この悪化の理由には、売上の急減、取引先の倒産、自然災害、技術革新による市場環境の変化などがあります。これにより、企業は負債が増加し、資金繰りに困難を抱えるようになり、事業の継続が危ぶまれる事態に至ることもあります。
特に定期同額給与の改定において「経営状況の著しい悪化」が認められる条件は、通常の経営活動では対応できないような予測外の状況が発生した場合を指します。たとえば、リーマンショックやパンデミックのような経済的危機、あるいは主要取引先の突然の倒産などが該当します。
このような悪化は、会社のキャッシュフローに大きな影響を与え、社員や役員への給与支払いに支障が出る場合もあります。そのため、役員報酬の減額や見直しを行うことが、企業の存続のためにやむを得ない選択肢となります。経営状況の悪化による給与の改定は、国税庁のガイドラインに基づき厳密に判断されるため、適切な書類の提出や証拠の提示が求められます。
国税庁のガイドラインとしては、役員給与に関するQ&Aを参考にしてください。
ただ、このガイドラインは絶対ではありません。企業の様々な事案毎に、個別具体的な事情があり、国税局不服審判所や裁判所の判例が積み重ねられる必要があるものです。